人工知能の能力に合わせて制度をかえる時代

 三次AIブームより能力は飛躍的に上昇したと。しかしながら、いざ人工知能を導入しようと思っても、一から十まで完璧に実務上耐えうる制度で業務をこなせることはまれである。あれも出来ないこれも出来ないと考えてしまったり、今の制度ではまだまだ使い物にならないと感じることを多いだろう。

 

 だからと言って「今の技術ではまだ実用には耐えられないと」と考え、導入を見送ってしまうのはあまりにもったいない。現在の技術にあわせて、体制を変える工夫が時には求められているのである。これだけはイメージがわかないと思うのでここで自動運転を例に説明しよう。自動運転技術は人工知能の発展と並行して飛躍的な進歩を遂げており、我が国においても、複数の地域で実証実験が行われており、導入に向けた準備が進められている状況である。自動運転の実現については、期待が大いに先行しているが、はっきり申し上げて現在の技術では日本の都市部をスムーズに走行できるような段階には至っていないし、それには技術の進歩を待たなければならないというのは専門家の一致した意見である。

 

 しかし、ここで導入をあきらめてしまってはもったいない。今の技術でも活用するすべはあるのである。例えば自動走行専用の道路とそうでない道路を分ける、またはエリアで分けるとの考えがある。人間が運転する車や歩行者が混在する道路を走行するとなると、現行不可能と言わざるを得ないがこれが、条件を変えれば急激に難易度が下がり、実現可能性の芽が出てくる。これはあくまで一例であるが、このように今のルール、状況に置き換えることを考えて、実現が難しいケースであっても、人間の方でルール・を変えることにより、人工知能でも可能な状態に落とし込むことが可能になるケースはいくつも存在する。

 人工知能の導入にあたっては、技術に合わせて制度を変える工夫が時には求められているのである。