さいたま市の人工知能で保育園の入所振り分けのニュースに思う
人工知能と一口に言っても、ディープラーニングから機械学習、ルールベースのものまでその様々であり、それぞれ特徴は大きく異なっている。
しかしながら、それらの違いを明確に意識しない意見があまりに多いように感じてならない。
それが顕著になった例を紹介する。
すこし前の、さいたま市の人工知能で保育園の入所振り分けののニュースである。
(さいたま市が保育園の入所振り分けをAIで瞬時に行ったというもの。)
これは、報道では言及されていなかったが、機械学習ではなく、ルールベースの人工知能と呼ばれるシステムを用いて判定している(そもそもルールベース型は人工知能と呼べないとお考えの方も多くいるが、ここでは便宜上そう呼ぶ)。大雑把に言えば、人間が指示したルールに従って判断を下すというものである。
しかりながら、上記報道には下記のような批判が多く見受けられた。
・人工知能の判断はブラックボックスであり、結果に至るまでに仮定が不明確
・ 結果についての説明責任が果たせない
以上の理由から保育園入所判定業務にAIを用いるのは問題がある
なるほど確かにもっともらしく聞こえる。
しかし、上記はいずれも、ディープラーニングの性質である。本件はあくまで
ルールベースの人工知能であり上記のような問題は発生しない。
明らかにそれらを混合した発言である。
以上のような例は列挙に暇がない。
人工知能と一口で言っても、いくつか種類があるためそれらの違いを明確に意識すべきである。
ただ、これは情報発信する側にも問題があるように思う。
というのも、一律に人工知能と呼称せずに、例えば本件であれば、人工知能(ルールベース型)等というふう表記すればこのような混合は起きない。ところが、不思議なことに人工知能導入に関するニュースのほとんどすべてにおいて、単に人工知能(AI)と表記され、細かい分類まで記されていないのが常である。
(これを発表することにより何か都合の悪いことがあるのかと勘ぐってしまう)